蜂の勘違い(№371)
若葉茂る今年の4月のことです。家の裏の津波避難路周辺の草むらを、長刀のように柄の長いカマで刈っていました。しばらくすると、「ブーン!」という威嚇の音が耳元で聞こえました。見ると一匹の蜂でした。なおも草刈りを続けていると、私の目の前で、ヘリコプターのように、じっとホバリングして離れません。まるで「もうこれ以上は巣に近づかないで」と言っているようでした。仕方なく、私は「はい、分かりました」と言って、その場から退きました。蜂が近づいてきても、何もしない人を刺すことはないと言われていますし、私もそのとおりだと思います。なのに私は去年も、3年前にも蜂に刺されました。それも蜂の勘違いのために。
去年は、家の裏の小さな畑で、足元の野菜を見ながら、自分の左前にあった竹の支柱を、何気なく、よそ見しながら、つかもうとしたときのことでした。左手の小指に「チクリ!」ときたので、何かに刺されたかも、と思った次の瞬間「ズキン!」という強い痛みが走りました。3年前に刺されたときの痛みがよみがえってきて、この痛み方は蜂だな、と思いました。私は足元の野菜に気を取られて、竹の近くにいたか、竹に止まっていた蜂の存在に気がついていなかったようです。
3年前に刺されたのも同じ畑で、細長い棒状の角材を両手でつかんで、置き場所を替えていたときです。蜂が近づいてきたのは知ってましたが、角材を両手でつかんだ状態で急にくるりと方向転換をしたのがよくなかったようです。近くにいた蜂は、角材で叩かれると勘違いしたのではないかと思います。そのときは左腕を刺されました。自称「昆虫大好き人間」である私を何で刺すのかと思いますが、蜂には蜂の都合があるようです。
刺されたときには、家の近くの病院に駆け込みます。すると女医さんと看護師さんが患部を思い切りつまんで毒を絞り出してくれます。そのおかげで、翌朝は患部が赤く大きくパンパンに腫れあがることはありません。少しは腫れますが。
人を刺す蜂は、数多くいる蜂の種類の中の、ほんの一部のようです。スズメバチ、アシナガバチ、ミツバチなど集団で生活をしている蜂が刺すようです。春の蜂は巣作りで忙しく、人が指で触ったり、足で踏んだりしない限りは刺されないと聞きます。ところが、夏から秋にかけては、巣が大きくなり、蜂の家族が増えてきます。そうなると危険になるようです。つまり、蜂は巣を壊されたりするのを防ごうとして人を刺すようです。そのため、蜂の巣を見かけても、あまり近づかないで、静かに通り過ぎるのがいいようです。人を刺さない蜂や、植物の受粉を手助けしてくれる蜂もいます。私たちもむやみに蜂を殺すことなく、蜂と仲良く暮らすようにしたいものです。
ご参考までに、ネットで調べた「蜂に刺されたときの応急処置」です。
・蜂の針が残っているときは、そっと抜く。
・蜂に刺された部分を流水で洗い流す。
・患部を氷や冷湿布などで冷やす。
・応急処置をしながら様子を見て、必要であれば病院で治療を受ける。じんましん、めまいなどアナフィラキシー症状が出たら救急車を呼んでください。
(エイト・ビート)