コロナ禍の日常(№365)

 令和3年1月7日、首都圏の1都3県に2度目の緊急事態宣言が発令されました。新型コロナウイルス感染症患者の増加に伴い、中等症、重症の患者の治療を担う医療従事者への負担、そして病床数の逼迫が大きな要因です。昨年4月の1度目の全都道府県への緊急事態宣言で、患者数が減少している時に、医療従事者および病床の確保対策を、国、県、医療従事者それぞれの立場でもう少し突っ込んだ話し合いをして具体策をとっていれば、医療崩壊の危機が起こるような状況は阻止できていたかもしれません。
 高知県も含めて医療崩壊の危機については、諸先生方がいろいろ対策を述べられているので、ここでは新型コロナウイルス感染症について現在までにわかっている基本的なことをおさらいします。発症から1週間程度は発熱や咳などの風邪症状が続き、そのまま治っていく患者が全体の80%程度とされます。味覚、嗅覚障害を伴っている場合もあります。20%の人は呼吸困難や咳などで、肺炎症状が悪化し、中等症、重症患者として入院対象になります。高齢者や糖尿病、高血圧、慢性腎臓病などの基礎疾患のある人、肥満の人、喫煙歴のある人、悪性腫瘍のある人、妊婦などが重症化しやすいといわれています。このため、感染しても80%の人が無症状か、もしくは風邪症状で治ってしまうため、「新型コロナウイルス感染症は季節性のインフルエンザよりもたいしたことない」という人もいます。しかし、基礎疾患のない若者でも急速に悪化することがあります。潜伏期間が長く、発症の2日前から感染源になる可能性があり、発症してウイルスを排出していても無症状のことが多いなど、インフルエンザ以上に厄介です。
 新型コロナウイルス感染症の合併症で、致死率との関連性が高いものに、肺塞栓症や脳梗塞などの血栓塞栓症があります。重症例において、特に血栓塞栓症との併発が多くみられます。治ったと思った後も、後遺症によってその後の生活にまで支障を来すことがあります。重症者だけではありません。若い世代でも、倦怠感や呼吸苦の症状のほか、関節痛、味覚・嗅覚障害、めまい、聴覚障害、なかには脱毛などの報告もあります。
 インフルエンザでのタミフルやイナビルのように、感染があったらすぐ投与すれば治るような特効薬はありません。今のところ飛沫感染や接触感染の予防には、手洗い、手指消毒を徹底し、マスク着用が有効です。ワクチンができ、治療薬が揃うまでは、3密を避け、会食を控え、個人個人が自分の行動を律するという「新しい生活様式」を継続するしかなさそうです。

(めだかの里)

2021年01月27日