ヘルスリテラシー(№364)

 師走の恒例行事「今年の漢字」、今年はぜひとも”冠(コロナ)”を推したい。
 昨年12月、中国で発生した新型コロナウイルスの流行は、瞬く間に拡大してパンデミック(世界的大流行)となり、多くの国々で健康、社会、経済に甚大な影響を及ぼしています。感染が拡大し始めた当初は、この新興感染症がどういうものか分からず、日本でも大変な不安と混乱に陥りました。マスコミは連日取り上げ報道が過熱、ネットやソーシャルメディア(SNS)では、科学的根拠のない予防法や偽情報を含むさまざま情報が飛び交いました。8月、「うがい薬でうがいをすれば感染を防げる」報道に日本医師会はヘルスリテラシーの重要性を指摘、「国民の皆さんは、世に出された情報に飛びつくのではなく、一度立ち止まって冷静に情報を吟味してから次の行動に移って欲しい」と報道関係者と国民に冷静な対応を呼びかけました。
 この「ヘルスリテラシー」という言葉、わが国が長寿時代を迎えて健康への関心が高まる中、2015年に厚生労働省が発表した「保健医療2035」に初めて登場しました。その意味するところは、日本医師会のお叱りのとおり。正しい健康情報を選び取り、意志決定をして、自らの健康を維持、向上させる能力をいいます。コロナ禍の今、自らを守るために必要な健康力ともいえます。
 12月、日本列島はコロナ第3波の猛威に見舞われ、高知でも患者が急増しています。新聞やテレビは医療提供体制の危機を伝え、国民一人ひとりが日々の情報に注視し、節度ある行動をとるよう訴えています。やっと、英国で新型コロナウイルス感染症のワクチン接種が始まりましたが、私たちが恩恵を受けるのはもう少し先の話。今できる唯一の感染抑止策は、以前から言われている「マスク着用」や「3密対策」などを取り入れた「新しい生活様式」の徹底であることに変わりはありません。それにしても、新型コロナの治療に一つ明かりが点ったことは本当に嬉しい限りです。
 来年は丑年、もーもーもーっといい年が来ますように、心よりお祈り申し上げます。
 (12月10日現在の新型コロナウイルス感染者数 世界6,935万人、日本17万2337人、高知県301人)

(豆助)

2020年12月28日